私が相続対策の相談を受け始めて、10年が経とうとしています。
当時は、まだ相続対策が今ほど活発ではなく、相続対策を勧めると「私に早く死ねと言っているのか?」「人の死をビジネスにすることはけしからん」などと言われたこともあります。
その時分から考えると、今は相続対策に拒否反応を示す人が少なくなった印象です。
これは各種メディアで相続対策を勧める記事が増え、それを受け取る側の皆様の理解力が高まったこと、周りで相続で困ったという話を聞くようになったことなどによるものだと思います。
個人的には相続対策をする人が増えてきてくれているという認識であり、それを後押しできるように努めていきたいと思います。
さてそんな相続対策ですが、実行した対策の有効性(=賞味期限)はいつまで続くのかという問題があります。
早い人だと対策実行から亡くなるまで、数十年の時間があるケースもあります。
厚生労働省の令和3年簡易生命表によると、男性では28.1%、女性では52.6%もの人が90歳を迎えている現状があります。(参照:厚生労働省HP)
対策実行してから亡くなるまでの間が長くなることで、自身の財産状況の変化、家族関係の変化、法律の改正などが起こります。
一度した対策が、いつまで有効に機能するかというところが心配になるところでしょう。
もちろん、対策実行直後は問題ありません。
が、時間の経過とともにその対策が有効でなくなってしまう可能性があるため、相続対策に関しては定期的な見直しが欠かせません。
これらを踏まえて、定期的に見直しをし、メンテナンスをすることにより対策の有効性(=賞味期限)を伸ばしていくことが必要だと考えます。
とある事例をご紹介します。
約20年前にご自身が70歳の時に、銀行の遺言信託※を契約したお客様がいました。
※ 遺言作成、亡くなるまで遺言を預かる、亡くなった後に遺言の通りに名義変更等の手続きをしてくれるまでをセットにした商品の名称。
私が相談を受けた時に本人は90歳くらいで、遺言作成時には無かった財産が増え、承継者は先に亡くなり、遺言通りに財産承継をすることができない状況でした。
まさに相続対策の賞味期限が切れたといってもよい状況でした。
このままだと希望通りの承継ができない可能性を示唆し、新たに遺言を書き直すお手伝いをさせていただきましたが、遺言を書き直すことをせずに亡くなってしまったらゾッとしますね…
この事例などを踏まえると、相続対策が賞味期限切れにならないための見直しをすることが大切だと考えます。
亡くなる直前に対策を実行することができればこのような見直しは不要かもしれませんが、亡くなる時期がわからない以上、早めの対策は不可欠です。
早めの対策実行、定期的な見直しがセットになると考えましょう!
過去に行った対策を、現在の財産状況や家族状況、法律などに置き換えた時に問題がないかをチェックすることで、いつまでも有効な対策が継続されるイメージです。
この見直しは最低でも年1回は実行すると良いです。
私たちはこの対策の見直し相談にも対応しています。
すでに相続対策をしているという人は、これを機会に自身の対策を見直してみてはいかがですか?