【Q&A】〜 相続税対策編 〜

今日は相続税対策に関して、よく聞かれることをQ&A形式で紹介します。

Q.配偶者が相続する場合にはほとんど相続税がかからないと聞きましたが、それを利用しない理由はありますか?

A.二次相続(遺された配偶者が亡くなった時の相続のこと)を踏まえると、配偶者に相続させない方が良い場合があります

質問の通り、亡くなった人の配偶者が相続する場合には、①1億6,000万円 または、② 法定相続分のどちらか多い金額まで相続しても相続税がかからない「配偶者の税額軽減」という特例があります。

これを適用することによって、亡くなった人の相続に係る納税額が少なくなります。
が、二次相続の時に大きな相続税負担が発生する可能性があります。

例えば、夫妻がそれぞれ1億円の財産を所有し、子供は2人というケースで考えます。
夫が亡くなった時に妻が全財産を相続したら、夫の相続での相続税はゼロ(配偶者の税額軽減を適用)となります。ただし、その後に妻が亡くなった時の相続税は3,340万円となります。

夫が亡くなった時に妻が財産を相続しなかった場合には、夫の相続での相続税は630万円です。その後に妻が亡くなった時の相続税は770万円となります。

つまり、分け方によって約2,000万円もの納税額の差が出てくるということです。
何も考えず、とりあえずの相続税対策として配偶者に全てを相続させるという対策はやめましょう。

それでも夫婦で作り守ってきた財産であるため、税負担は大きくなっても配偶者に渡したいというケースもあるかと思います。このような場合には、生前にどのくらい相続させるかなどを考えておくことが有効です。

Q.生前贈与による対策はこれから出来なくなりますか?

A.そんなことはありません

税制改正により、来年から生前贈与に関して法律が変わります。

生前贈与加算の期限が3年→7年に伸びるというムチがある代わりに、
相続時精算課税制度を利用した贈与に基礎控除額ができ、かつその基礎控除額部分までは生前贈与加算の対象外となるというアメがそれぞれ用意されています。

コチラのコラムでも解説していますが、現状把握したうえで対策を検討していくことで生前贈与による相続税対策はまだまだ実行できると考えています。

Q.借金があると相続税は減りますか?

A.借金=相続税の減少ではありません

例えば、1億円の財産を持っていた人が銀行から1億円を借りました。財産はいくらでしょう?

1億円(財産)−1億円(借金)+1億円(借りたお金)=1億円となります。変わっていませんね。

これを見ると、借金をすると相続税が減るわけではないことを理解してもらえると思います。

よく言われる相続税を減らすための借金とは、借り入れた資金を別のものに変えることで相続税法上の評価を減らすというものです。
例えば借りたお金で不動産に投資をする。これにより、1億円で買った物件が7,000万円の相続税法上の評価になることで3,000万円の資産圧縮になるということです。

ただし、これらの対策についてはやりすぎ注意です。過度な不動産投資に関する相続税対策にNGが出された事案も発生しています。

Q.生命保険は相続税対策になりますか?

A.亡くなった人が契約者(=保険料を支払っていた)かつ被保険者だった保険金のうち、相続人が受け取った分については、「500万円×法定相続人の数」までの金額は非課税となります。

受取人が相続人以外である場合や被保険者が亡くなった人でない契約については、それぞれの評価により相続税の課税対象となります。
生命保険はうまく活用することで相続税対策になり得ますので、積極的に活用してください。

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