今回は、このような質問をいただきました。
Q .私の財産を引き継がせる人を決めている段階です。それが決まったら遺言を作成するつもりですが、引き継がせたい人が高齢で先に亡くなってしまわないか心配です。引き継がせたい人が先に亡くなった場合にはその遺言は無効になってしまいますか?
A .遺言がすべて無効になるわけではありません。引き継がせたい人が先に亡くなってしまった場合には、その人に引き継がせようとした財産を相続人全員で遺産分割協議をすることとなります。
「人が亡くなる時期は誰にも分からない」
遺言で引き継ぐ人を決めたけど、その引き継ぐ予定であった人が先に亡くなってしまうこともあります。
例えば、「自宅を妻に、金融資産を長男と長女で均等に分ける」という内容の遺言を作成していたケースを考えます。
この場合において、妻が先に亡くなってしまった場合には、自宅は長男と長女の話し合いにより承継者を決めることとなります。
遺言自体が無効になることはありませんが、自宅を引き継ぐ人を決めなければいけないという観点で言えば遺言のメリットが少なくなってしまう印象があります。
予備的遺言の活用
予備的遺言とは、特定の人に引き継がせたいがその人が先に亡くなってしまっていた場合には別の人に引き継がせるという内容を指示しておく文言のことです。
上記の例に当てはめてみると、「自宅を妻に、金融資産を長男と長女で均等に分ける。ただし、妻が先に亡くなっていた場合には自宅を長男に承継させる」といった具合です。
むやみやたらと予備的遺言を作成しておけば良いというわけではないですが、年齢の近い配偶者や兄弟姉妹への承継についてはこの予備的遺言を考えておく事で自分の財産を自分の思った通りに引き継がせることができます。
こういった点を踏まえて、どんな事が起きても安心できるような遺言を作成してみませんか?