【Q&A】「公正証書遺言と自筆証書遺言の両方が出てきた…」

こんな質問をいただきました。

Q .父は数年前に司法書士に依頼をして公正証書遺言を作りました。父が亡くなったためその公正証書遺言で相続手続きをしようとしたところ、亡くなる一ヶ月前に自分で書いた遺言(自筆証書遺言)が出てきました。いくら自筆証書遺言の日付が新しいとはいえ、公正証書遺言で手続きをしてしまって良いですよね?

A .数年前に作成した公正証書遺言と日付の新しい自筆証書遺言で抵触(引き継ぐ人が変わっている等)があった場合には、日付が新しい自筆証書遺言が有効になります。

今回の質問のケースでは公正証書遺言のほかに、自筆証書遺言が出てきたとのことですが、このように複数の遺言が出てきた場合には内容の変わっている部分に注目する必要があります。

内容が変わっている部分については、日付が新しい方に記載されたものが有効となります。
例えば、公正証書遺言の作成日が令和2年1月1日であり、自筆証書遺言の作成日が令和5年1月1日であれば自筆証書遺言が優先されます。

ちなみに内容が変わっていない、または記載がない場合には以前の遺言が有効となります。
そのため、双方の遺言を持って手続きをしなければならない可能性があります

また公正証書遺言はその作成過程から鑑みて効力の高い遺言と言われていますが、その公正証書遺言の内容を自筆証書遺言で変更することも可能であるため、遺言の種類で効力が決まるというものではないのです。

上記の通り、複数の遺言が出てきた場合には慎重に対応する必要がありますので、ご相談ください。

今日のまとめ

・公正証書遺言が優先されるというわけではない
・前後の遺言で承継者が違う場合、日付が新しいものが有効となる
・前の遺言には承継者の記載があるが後の遺言にはそれがない場合、前の遺言の通りに承継する