【Q&A】「生前に遺産分割協議をまとめたら遺言は不要?」

今回はこのような質問をいただきました。

Q .私は、父が所有する土地に家を建てています。父の財産を相続する権利のある人は、私と弟です。
その弟とは生前に父の遺産をどのように分けるか決めており、書面も作成してあります
この場合には、遺言はいらないのではないですか?

A .この場合にこそ、遺言を作成しておくべきです。

生前の遺産分割協議書は法的効力を持たない!

なぜなら、生前の遺産分割協議は無効であるからです。

例えば、質問の通りに書面を作成しておき、お父様の死後に作成した書面を持って不動産の名義変更をしようとしても受け付けてくれません。
この場合には改めてお父様の死後に遺産分割協議をする必要があります。

この遺産分割協議が何の問題もなく進めば良いのですが、お父様が亡くなった時に弟さんの気持ちが変わっていたり、資力が低下しているような状況であれば遺産分割協議がうまくいかない可能性があります

よって、生前中に財産承継方針が決まっている場合にこそ、遺言を作成しておくべきです。

私はこれまでにも、生前に話し合って分け方を決めたが、遺産分割協議ではうまくいかなかったという事例を何十件も見てきています。
話し合いによって、みんな納得する配分で決まったのであればその通りに遺言を作成しておく必要があります。

特に、親の土地に家を建てている人は遺産分割協議が困難になることで、最悪の場合にはその家に住み続けられなくなる可能性もあります

財産承継方針が決まったら遺言を作成しておきましょう。