先日あったご質問。
Q .揉めないために遺言を作るということはよく分かりました。が、そもそも法定相続分通りに分けたら揉めないのではないですか?
A .いい質問ですね。
これは状況によって返答が異なる質問ですが、法定相続分通りに相続することが適切ではない、またその通りにならない場合にもあるので注意が必要です。
法定相続分通りに相続することが適切ではないというケース
これに該当する財産の例として自宅が挙げられます。
例えば、相続人のうち亡くなった人と一緒に住んでいる人とそうでない人がいる場合において、一緒に住んでいない人が自宅を相続した場合には権利関係が複雑になってしまう可能性があります。
この場合には、自宅を法定相続分通りに相続するのではなく、一緒に住んでいる人が自宅を相続し、それ以外の人には多くの金銭を渡すなどの対処が必要だと思います。
法定相続分通りに分けることができないケース
これは、相続人が法定相続分を相続することでは納得しない場合を想定しています。
例えば、ある相続人が一人で親の世話を担っていた場合には、他の相続人と同じ取り分では納得しない場合もあるでしょう。
特定の相続人に生前贈与があった場合なども同じです。
生前贈与をもらっておきながら、相続分は皆平等ということでは納得できない場合もあります。
特殊なケースで言えば、法定相続分をもらったとしても手続きには応じたくないといった考えをする人もいます。
関係性が良くない場合には、このような嫌がらせのようなことが起こる可能性についても考えるべきだと思います。
以上を見てみると、法定相続分を渡せば手続きが進む、揉めないと考えるのは早合点である可能性があります。
どのようなことが起こる可能性があるのかなどを考えながら、何が起こっても対応できるような事前準備が必要です。
この点で言えば、遺言を作成しておくメリットが大きいです。
法定相続分で相続させたいと思えば、そのように遺言を書いておきましょう。